私の姉は「将来後悔しないために、いま親孝行をしておく」と言います。でも、姉の無意識には親への怒りが溜まっており、自分に嘘をついて「孝行娘」を演じている状態です。
これは過干渉の親と同じ心理状態で、自分をごまかして愛せない”罪悪感”を償っているのです。「子供がかわいくない」とか「親を憎んでいる」という本音は、社会通念上好ましくないため認めたくないのです。
なぜこうなるのでしょうか?それは、共依存ですから「依存相手を失いたくない」という理由が考えられます。実際には「怒り」が溜まるだけなのですが。
自分に嘘をついてまでする”後悔しないため”の行動は、かえって後悔することになります。行動の動機にエゴ(承認欲求/不安)があるので、結果にもエゴが表れるのです。
また、人間と言うものは、それほど強くありません。強くないから、傷つくことを恐れて親の顔色を伺う生き方(良い子)を選んだのでしょう。
ですが、自分に嘘をついて良い子を続けていたり、心の葛藤(無意識)と向き合わないでいると、必ず「心を病む」時期がきます。
良い子でいれば親から関心を与えられたり、愛情をもらえる特典がありますが、親に反発していると親から無視され、生きるエネルギーを与えられません。
母娘問題を抱えていながらも「母にも良いところがあるんです」と親をかばう発言をする方は、親から完全に無視されることが恐いのです。
無意識(本音)は恨んでいるのに、顕在意識(不安)がブロックをかけて恨み切れないから、親から自立できないのです。
なんだかんだ言いつつ自立できないのが”良い子”の特徴ですが、本心では”良い子”の自分ではなく「ありのままの自分」が認められることを望んでいます。
”永遠の片思い” でも、恐ろしくて事実を受け容れられないから良い子でいようとする。
非力な子供が生き延びる方法として「良い子」を選択するのは仕方ないことです。しかしながら、大人になってもこの生き方を続けると、本音と建前の葛藤で苦しくなる一方でしょう。
”ラクして生きる”と”ラクに生きる”は違います。ラクに生きたいのなら、傷つくことを恐れず、自分の「本音」に耳を傾ける強さが必要です。それが「成長痛」です。
自我意識(エゴ)を乗り越えて引き出される「本当の強さ」は、私達が本来持っているエネルギーであり、「神や仏」と同じエネルギーなのですよ。そのエネルギーに生きる強さと、心を癒す力があるのです。
あなたが本当に求めているのは「本音を自分で認めること」です。